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カラスと机。

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Diner ダイナー。


※ネタバレ超絶注意。あと内容が内容だけに、感想もグロいです。※

「粘膜人間」に継いで人間性を疑われそうだから読んでることを誰にも知られたくない作家の一人、平山夢明による史上最強の傑作。
もう間違いない。
最高傑作ですよ。

いやね、私平山夢明は実話系怪談の短編集で始めて知って以来、その他の追随を許さない圧倒的なグロ描写にすっかり魅了され、ファンになったのでした。
本というのは表現規制がないので、どんだけグロくてえげつない内容でも映像作品のようにR指定がかかったりしないんですね。
それを良いことに幼きころの私は平山夢明の本を読んでは人体の限界を妄想し、震え、絵を描いてみたりなんかして楽しんでいたのでした←

ダイナーはそういった実話怪談とは異なり、またホラーでもないという、彼の作品群から考えると異色の小説になります。
そんな稀有な作品+平山夢明といえば「何の罪もない善良な市民が圧倒的な暴力で虫けらのように殺される」などの不条理な展開に定評があるので、これもそういう系だったら嫌だな…と思い敬遠していたのでした。
事実、短編集に収録されているお話で優しい老婆が頭のおかしな若者2人に何の意味もなくなぶり殺しにされる、という話が収録されており(映画「ファニーゲーム」に酷似している。ファニーゲームもつらかった)その話を読んだ直後はしばらく食欲がわかなくなったというトラウマがあります。
だがしかし。
なんとこのダイナー、実写映画化するというではありませんか。
藤原竜也×蜷川実花だとぉ!?
二人共大ファンだよ!!!!
絶対見るよ!!!!!
ってなると、原作を先に回収しておきたい勢の私としては、積年の重い腰を上げざるを得なかったのであります。
上げて良かった、重い腰。
本当に、究極のグロテスク・エンターテイメントラブストーリーでございました。

……そう!!!!
これ!!!!!!
究極のラブストーリーだったんDEATHよ!!!!!!(混乱)

<あらすじ>
離婚を機に生活に困窮していたオオバカナコはつい、闇サイトのアルバイト求人に手を出してしまう。
銀行強盗の逃亡車の運転のバイトであったが、もちろん失敗し、壮絶な拷問の末人身売買にかけられてしまう。
カナコを買ったのは、ダイナー「キャンティーン」の雇われオーナー「ボンベロ」。
キャンティーンは殺し屋専門のダイナー(定食屋)であり、ボンベロはそこのシェフであり、元殺し屋であった。
客も殺し屋、オーナーも殺し屋のダイナーで働くことになったカナコは常に命を狙われながら生き残る為、必死で働くのであった…。

まずこの「オオバカナコ」って名前で笑いますよねww
確かにおばかさんなんですけどね、でもカナコちゃん、アホではないです。
登場人物が割と日本人ばっかりで、おそらく場所も日本っぽいんですけど、地の文と登場人物の言い回しがもうものすごくアメリカンテイストなので、私は脳内ではアメリカで想像していました。
ボンベロのイメージは私の中ではブルースウィリスですwww

この小説は全部で6章、プロローグとエピローグを合わせて8章で成り立っており、各章で色々な殺し屋がご飯を食べに来ます。
体中に傷がある男「スキン」、体は子供、頭脳は大人の「キッド」、べっぴんさんの殺し屋「炎眉」など、個性あふれる殺し屋が来ては、死んでいきます。
命を奪うものが命を繋ぐための場所で死ぬ、というのがなんか生と死をより一層意識できて良いなと思いました。
このダイナーでは生きるのも死ぬのもただの日常。
そんな中、カナコは常に殺されそうになりながら、なんとか生き抜いていくのでした。

んで、後半へ折り返しくらいのところから、ボンベロとカナコの関係が微妙に変わってきます。
最初は即カナコを殺そうとし、人質を盾にされていたからかろうじて殺さなかっただけのボンベロが、カナコを殺そうとしません。
スキンのスフレのくだりのところで、カナコは自分のしたミスの大きさに耐えられず自ら殺して欲しいと言うのに殺しません。
お や ?
と思いつつ読み進めていくと、やはりボンベロがカナコをかばう。
そして、カナコもまたボンベロの背中を眺めているうちに、自分の中の感情に気が付くのです。

こんな…こんな血と膩と内蔵と樟脳にまみれた愛があっていいのか…!!!!
や、全然良いよ!!!
むしろ興奮する!!!!!!

なんか、全く恋愛的な描写はないんですけど、お互いの行動や、ラストシーンのボンベロのセリフなんかが、もうなんか、たまらん愛しくてですね…
エピローグで、ボンベロをダイナーで待ってるカナコが切なくて…いじらしくて…
ええやん…ってなりました(小並感)

この小説、推し所がめちゃくちゃ多すぎて、もう感想がとっちらかっちゃうよ!(怒)
とりあえず一番キュンキュンしたのはボンベロとカナコの関係なんですけど、もっともっと見所(読みどころ?)があってですね…
前出の「スキン」がカナコに向けたほのかな愛情とやさしさ、そしてやさしさを返そうと思った故の悲劇、とか!!
炎眉のボンベロへの報われない愛情、とか!!!
炎眉はかなり好きなキャラクターで、名前の通り超絶嫉妬魔で(envy=七つの大罪の嫉妬)カナコに敵対心バリバリなのがなんかかわいかったりwww
でもクレイジーでクールで最後は死んじゃうんだけど…その死体を抱きしめるボンベロ…そうか…おまえ…そうか……ってなる…。
わんわんも良かったですね!
ブルドッグの菊千代。
すごい怖い犬(H×Hのキルアん家の犬みたいな)かと思いきや、カナコには懐いてピンチをめっちゃ助けてくれる。
最後ボンベロと行方不明になっちゃうんだけど…生きてて欲しい。
こうやって書くと結構恋愛要素が強いのかな?と思われるかもしれませんが安心してください!!
そんなの全て吹っ飛ばすぐらい、グロ描写がありますから!!!!!!(白目)
平山夢明の何がすごいって、比喩表現の斬新さだと思うんですよね。
殴られ続けて、最初は硬質な音がしていた頭が腐ったかぼちゃを叩いたような音になった、とか
ケーキの上にデコレーションされた指と舌から飛び散った血が白い生クリームに飛んでいる、とか
情景が想像出来すぎて逆にダイレクトにグロいですよね…。
また、ソーハという殺し屋は堕胎が趣味で、掻き出した胎児をロックアイスに入れて凍らせて、それでウイスキーを飲み、もちろん溶け出したら食べます。
彼曰く「イカみたいなもんだよ」って…ええ…うん…想像できちゃうよ…おぇ。
なんか難しい表現は使わず、ストレートにわかりやすく表現されているので
見たことないから想像できない、なんてこともなく、なんなくグロテスクな情景が目の前に広がってしまうんですよね。
これはほんとすごいと思う。

そして、全く同じ技法で描写されるのが料理の美味しさ。
ダイナーのメイン料理はもちろんハンバーガーなんですが、それがほんと、この世のものとは思えないぐらい美味しそうに描写されています。
人間の内蔵も、ビーフパティも等しく正しくわかりやすく、鼻先に匂いが漂う仕様。
……ほんと悪趣味(褒め言葉)

こんだけ文章にしても全然魅力が伝わりきってないと思います。
自分の文才の無さがもどかしい…!!!
もうお願いみんな読んで(怒)

んで、さっき知ったんですが、このダイナー、なんと続きが連載中らしいんですよ!!!!!
Webで無料で読めるとかホントかな…ちょっと探してみます…
あ、もちろん海賊版とかだったら絶対手出さないですから!!!
私は公式にお金落としたい人なんで安心してください!

続きも映画も楽しみだ~~~~~~!!!!
グロいのがほんとにほんとにダメって人以外は、騙されたと思って読んでみてください。
もしかしたら、新しい扉を開くかもしれませんよ…!!!
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