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カラスと机。

日々のつれづれと、見たものの感想。

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空子コピペまとめ2。


前回のエントリーの続き。

05/03/25
3月5日ぐらいから、空子が家を出たきり帰って来ない。
1週間程度帰って来ないことは何度かあった。
が、こんなに長いのは初めてだ。
親父はプチ廃人になっている。

05/03/26
今日の朝、じいさんが猫を探しに行ってくるといって家を出て、夜遅くにパトカーで帰って来た。
それから、じいさんはカーペットに座らなくなった。
「わしが空子のカーペットを奪ったのが悪かったのか…。」
と、頻りに気にしている。
「それは関係ないんじゃないの?」
と言ったが、また猫を探してくると言って出掛けていった。
俺は少しだけじいさんが好きになった。
今日も、空子は帰って来ない。

2005/3/27
神社の脇でこちらをじっと見る野良猫を見掛ける。
「よう!空子知らないか?」と声を掛けた。
くるりと向きを変え、歩き始める猫。
振り返って俺の顔を見る猫。
「着いて来い」と言っているようだ。
俺はそいつを追いかけてみることにした。
何度も振り返り、俺の顔を見ては歩き出す猫。
慎重に後を追う俺。
「どこに連れて行くんだ?」と思った瞬間
一軒の家へ入っていく猫。
中から「あらー、お帰りーマロちゃん」と聞こえた。
あれ?ただ自分の家に帰っただけなのか?
いやそんなはずはない、必ず何かある!と確信した。
何も起こらなかった。

2005/3/28
今日の朝、じいさんが「久しぶりに死ぬ夢を見た」
と言ってコップの水を一気飲みしていた。
ん?空子か?帰ってきたのか?
俺は「まさかな…」と思ったが、少しだけ嬉しくなった。

2005/3/30
残業で遅くに帰宅。
台所へ行くと、親父がテーブルに顔をうずめて寝ている。
邪魔だ。
テーブルに目をやると、汚い字で「猫探しています」とチラシが作ってあった。親父の字だ。
「・茶と白色の3才のオス猫・痩せ型・赤い首輪をしています・見掛けたら連絡ください・名前はキャサリン。」
…キャサリン?
親父は「空子」が恥ずかしいと思っているのか?
オスなのに「空子」が恥ずかしいのか?
キャサリンでもメスの名前じゃないのか…と考えてみたりする。

2005/3/31
朝からあわただしく玄関を飛び出す親父。
どうやら寝坊したようだ。
その様子を二階から眺める俺。
カバンからキーを出し→車のドアを開ける→なぜかカバンにキーをしまう→車に乗り込む親父。
「さぁ、行ってくるぞ!」窓の向こうのお袋にそう言って、エンジンをかけようとするが、キーが無い。
「あれ?ドアに刺しっぱなしか?」と言いながら
車の窓を開ける→鍵穴に手をやって捜す→ちょっと焦りだす親父。
座席の下を覗き込む→車の下を覗き込む→やっぱり無いらしい。
俺は「カバンの中だろ?」と思ったがあえて無視。
「家に忘れたか?」そう言いながら親父はカバンからキーを出し、車に鍵をかけた。
…手に持ったキーをしばらく見つめる親父。
何事も無かったようにまた車に乗り込んで行ってしまった。
俺はなんだか悲しくなった。

2005/4/2
公園の前を通りかかると、砂場の中に空子を見つけた。
「そら子!!」
無心で駆け出す俺。
「何やってたんだよ!心配させやがって!いったい今までどこ行ってたんだよー!!」
と叫びながら空子を抱き上げようとした瞬間
はっ!とする俺。空子に見えたのは、茶と白色のカバンだった。
俺は笑い崩れた。
夕方、飯を食っているとじいさんが帰ってきて
「空子を見つけた!」と言った。
「と、思ったらこれだった…」
じいさんは茶色と白のカバンを持っていた。
茶色と白のカバンとじいさんは、親父によって警察に連れて行かれた。

2005/4/5
空子がいなくなって1ヶ月が経つ。
奴はまだ帰って来ない。いったい何処に行ったんだ?
あいつがいなくなった前って何があったんだ?
日記を読み返す俺。
嫌なことを思い出した。
家出をするのは俺の方じゃないのか…と本気で思った。

2005/4/6
近所のスーパーに、空子の大好きな猫缶を買いに行ってみたりする。
家に帰ると、家の周りをウロウロ徘徊するじいさんを見掛けた。
じいさんも空子を探しているようだ。
「今日も空子探してるのか?」と声を掛けると、
じいさんは はっ! として家へ入っていった。
どうやらただの徘徊だったようだ。

2005/4/8
公園のベンチで、右目が金で左目が銀の白猫を見つけた。
背中を撫でる俺。
首だけくるりと振り返って俺の手をガブリと噛み付く猫。
避けず警告も無しに噛んでくる猫。
いろんな意味で痛かった。

2005/4/9
夜中、腹が減って起きた。
台所でゴソゴソと物色していると、
じいさんが「そ、空子か?」と叫びながら入ってきた。

2005/4/12
空子がいつ帰ってきてもいいように、台所には水とカリカリが置いてある。
毎朝まめに水を替える親父。
「水が蒸発するのは分かるが、カリカリも蒸発するのか?」
と、わけの分からないことを言っている。
カリカリが昨日より減っているというのか?
「ネズミよ」というお袋。
「そ、空子か!」というじいさん。
「気のせいか?」という親父。
俺も空子じゃないのかな、と考えてみたりする。
今日はいつもより、少しだけ空が青く感じた。

2005/4/15
親父が風水の本を買ってきた。
真剣に読む親父。
メモを取る親父。
メモには「南に緑」と書かれていた。
風呂から上がった親父は何故か鼻歌を歌っていた。
何かをたくらんでいるようだ。

2005/4/16
親父が小さな観葉植物を二つ買ってきた。
それを南の窓に並べる親父。
「いいか、息子。これが二つ同じように育てば、待ち人が帰ってくる」と言った。
鼻歌を歌いながら風呂へ入る親父。
じいさんが水をたっぷりあげていた。

2005/4/17
朝、リビングに行くと親父の観葉植物が二つとも枯れていた。
親父は今日、会社を休んだ。

2005/4/18
仕事場の近くで空子にそっくりな仔猫を見掛けた。
なんとなく、空子が家にやってきた日を思い出す。
ある夏の朝のこと。
新聞を取りに郵便ポストを開けるお袋。
郵便ポストには仔猫が丸くなって入っていた。
お袋はびっくりもしない。
「あら、消印が無いわねえ」とか言って家に入れたのだ。
俺の横でミルクを美味しそうになめる猫。
「いんじゃないか」となぜかニタニタする親父。
「目が青いからこの子は空子じゃな」と勝手に名前を付けるじいさん。
俺は空を見上げて空子のことを考えた・・・ 
もうそろそろ、帰って来いよ空子・・・。

2005/4/20
今日は朝から雨だった。
台所でお袋が夕飯の仕度をしている。
その音を聞きながら、窓の外をぼんやり眺めている俺と親父。
今日も空子(♂・3才)は帰ってこないのかな?
と考えてみたりする。
濡れてなければいいがなぁ…と呟く親父。
窓の外では雨の中、じいさんが盆栽に水をやっていた。
俺は何だか悲しくなった。

2005/4/22
仕事中にお袋からメールがあった。
メールを見ると
「空子帰って来たわよ」の文字。
俺は嬉しくなって早めに仕事を切り上げ、急いで家に帰った。
「そ、空子どこだ!?」
お袋はニヤっとしてじいさんの部屋を指差す。
俺はじいさんの部屋をそっと覗いてみた。
布団で昼寝をするじいさん。
じいさんの布団の上で箱座りしている空子(♂・3才)
「空子が帰って来た!」
俺は嬉しくなって親父に電話をかけようとすると、
玄関から、もの凄い勢いで親父が飛び込んできた。
どうやら、親父も会社を早退したらしい。
親父と二人でじいさんの部屋を覗いていると。
じいさんは、やっぱりうーうー言っていた。

2005/4/23
朝から親父が空子を抱き抱えて朝食をとっていた。
「やりすぎだろ」と思ったがあえて無視。
親父が慌ただしく会社に出掛けた後、俺も朝食をとろうとリビングに行くと、
じいさんも空子を抱き抱えて朝食をとっていた。
何故か抵抗しない猫(♂・3才)
次は俺の番だろ?と考えたりする。

2005/4/24
朝、目が覚めると俺の顔5cmの所に空子(♂・3才)がいた。
俺の顔をじぃーっと見つめる猫(♂・3才)
「いつからそこにいたんだ?またネコパンチする気か?」
の、「い…」と言った瞬間やっぱりネコパンチをくらわせようとする猫(♂・3才)
「その手にはのるかよ!」と瞬時にネコパンチを手で払い除ける俺。
「どうだ!」と思った瞬間、
今度は俺の両目にネコパンチをくらわせる猫(♂・3才)
どうやら、空子のほうが一枚上手らしい。

2005/4/25
お袋が台所で料理をしている。
下ごしらえした魚がテーブルに置いてある。
それを見つける空子(♂・3才)
椅子に行儀良く座っていたかと思うと、
そーっと魚に手を伸ばす猫(♂・3才)
「コラッ」と一喝するお袋。
一瞬動きが止まる猫(♂・3才)
空子はそのまま、伸ばした手でわざとらしく顔を洗っていた。
テーブルで新聞を読んでいた親父が、お袋の声にビクッとしたのは何故だろう…と考えてみたりする。

2005/4/28
久しぶりに空子(♂・3才)を腹の上に乗せてブラシをしてやる。
くるりと振り返りケツを向ける空子(♂・3才)
確かにそのほうがかけやすいのだが…
俺は何か複雑な気分になった。

2005/4/30
夕食を食べていると、テーブルの下から、ぬーっと手が出てきた。
「コラッ!」と一括するお袋。
それでも、素早い動きでじいさんの皿からししゃもを強奪する猫(♂・3才)
焦って床にししゃもをぶちまける空子(♂・3才)
お袋はししゃもを拾い上げじいさんの皿に戻した。
じいさんは気付かずにそのまま食べていた。

2005/5/1
部屋で雑誌を見ていると、空子(♂・3才)が入ってきた。
俺の方に歩いてくる空子(♂・3才)
「なんだよ、遊びに来たのか?」と声を掛けたが奴は無視。
窓をじっと見つめる空子(♂・3才)
「出たいのか?」と目線の先を追うと、
網戸にはカナブンがとまっていた。
「やめとけ、危ないだろ!」
と言ったが完全に無視。
空子(♂・3才)はカナブンを見つめ、なにやらウニャウニャ言っている。
「あきらめろって!」と言った瞬間。
思いっきり網戸に飛び掛かる猫(♂・3才)
そのまま、網戸と一緒に二階から落っこちる猫(♂・3才)
「空子ー!」
と叫びながら窓から下を見ると、空子は何か複雑な目で俺を見上げていた。
「あれ?やっぱりおれが悪いのか…」と考えながら庭に降りてみたが、空子(♂・3才)はもうどこにもいなかった。
部屋に戻ろうとリビングの前を通りかかると、
リビングの網戸にしがみついている空子(♂・3才)を発見した。

2005/5/5
コンビニからの帰り、空子が隣の家のガレージに入って行くのを見付けた。
おどかしてやろうと、後を追ってガレージに飛び込む俺。
飛び込んだ瞬間「っおい!」って叫んだら、
空子(♂・3才)は飛び上がってビックリしていた。
が、横にいたお姉さんもびっくりしていた。
俺はもっとびっくりした。
何故か、夕暮れの海に向かって叫びたい気分になった。

2005/5/6
リビングのソファーでお腹を見せて空子(♂・3才)が寝ている。
撫でてやろうと近づいたら、焦ってソファーから飛び降りる猫(♂・3才)
「怒らねーよ。撫でてやるからこっち来いよ」と言うと、
「にゃー」と鳴いてその場で寝転んだ。
しかし近づくと、微妙な距離をとってくる。
逃げたりはしないが手を伸ばすと、その分距離を開ける猫(♂・3才)
「ん?おちょくってるのか」と言って部屋を出る俺。
「にゃー」と鳴いて後を着いてくる猫(♂・3才)
「なんだよ、やっぱりそら子は俺の事が好きなのか?」と言うと、
お腹を見せてその場で仰向けになる猫(♂・3才)
俺が手を伸ばすと今度は転がりながら遠ざかった。
…いったい、何がしたいのか、意味がわからない。

2005/5/11 
リビングでテレビを見ていると、空子(♂・3才)がやってきた。 
どうやら庭に出たいらしい。 
「勝手口(猫用のパタパタの通路)から出ろよ!」と言ったが、外を見ると今日は雨。 
「無理だろ?」と言ったが、それでもしつこく開けろと言うので窓を少し開けてやった。 
どしゃ降りの雨にたじろいで後ずさりする猫(♂・3才) 
走って別の部屋の窓を開けろと鳴くので、仕方なく開けてやったら、 
やっぱりどしゃ降りで後ずさりする猫(♂・3才) 
今度は玄関に行くのでドアを開けてやったが、やっぱりどしゃ降り→後ずさり。 
納得出来ないような目で俺を見上げる空子(♂・3才) 
「どこの窓だろうと、ドアだろうと一緒だ。外は雨だ。」と言うと、 
肩を落としてじいさんの部屋に入って行った。 
五分後、空子(♂・3才)に連れられて家中を歩き回っているじいさんの姿を見た。

2005/5/14 
リビングの座椅子で居眠りをしているじいさん。 
その椅子に向かい合って座る猫(♂・3才) 
言葉すら聞こえないけれど、何か通じ合っているように見える。 
「平和だなぁ」と思った瞬間、 
じいさんが寝言で「チェッ!」と舌打ちをした。 
どうやら二人は夢の中で戦っているらしい。 

2005/5/18 
ソファーで仰向けに寝転ぶ親父。 
その顔面に座る猫(♂・3才) 
それだけでも十分面白いのに、よく見ると 
親父の両目に置かれた空子(♂・3才)の手は、リズムよくふみふみをしている。 
どうやら、親父はマッサージを受けているようだ。 
「なんだよ親父!疲れ目か?」と声を掛けると、 
親父は親指をぴんと立てて右手を高く上げた。 
それを見て、隣にちょこんと座るじいさん。 
どうやら順番待ちらしい。 
五分後、傷だらけの親父のまぶたを見て、じいさんは無言のまま部屋に戻って行った。 

2005/5/19 
空子が電気スタンドの傘に飛びった。 
「危ない危ない!」とうるさい親父。 
「頼む!降りてこい!」と下で手を広げる親父。 
「猫だから大丈夫だろ?」と言ったら 
「お前は黙っていろ!この野蛮人!」とわけの分からない事を言われた。 
酔っ払っているのか?と考えながら、遠くから見守る俺。 
体制を崩す猫(♂・3才) 
次の瞬間、見事に親父の顔面に着地する猫(♂・3才) 
親父は軽く流血しながらも「危ないなー」と笑顔で言っていた。 
一番危ないのは、親父じゃないのか…と考えたりする。 

2005/5/23 
夜、歯を磨いていると空子(♂・3才)が洗濯機の上で寝ていた。 
人差し指に付いた歯磨き粉を空子(♂・3才)の鼻に近づけてみる。 
目を閉じたまま、異変に気付く猫(♂・3才) 
もっと近づけてみると、顔をクシャクシャにする猫(♂・3才) 
指を離すと、また寝てしまった。 
また人差し指を近づけてみる→顔をクシャクシャにする→離す→戻る→また近づける→クシャクシャ→離す→戻る→近づける→クシャクシャ→と、反応が面白かったので 
試しに違う指を近づけてみた→ 
何故か顔をクシャクシャにする猫(♂・3才) 
…あれ? 
と思って今度は腕を近づけてみた。 
やっぱり顔をクシャクシャにする猫(♂・3才) 
右手→クシャクシャ→左手→クシャクシャ→足→クシャクシャ。肘→クシャクシャ。手首→クシャクシャ。 
俺が臭いのか?と考えたりする。 
俺は何だか悲しくなった。 
今度は洗濯カゴから親父の靴下を取り出し、空子(♂・3才)の鼻に近づけてみる… 
ところを、お袋に見付かった。 
お袋の目が痛かった。 

2005/5/24 
今日、散歩から戻った空子(♂・3才)の首輪に手紙が結びつけてあった。 
その手紙は『空子くんの飼い主様へ…』から始まっていた。 
首輪を見て「空子」と名前が分かったのだろう、 
『私は○○町の○○と申します…』 
なんだ?隣町じゃないか、と考えたりしながら、手紙を読み進める。 
その手紙には、こんな事が書かれていた。 
手紙を書いた主の家には、一匹の猫(10才・♀)がいた。名前は『チャチャ』というらしい。 
チャチャは数年前、避妊手術を受ける前に一度だけ出産をしたらしい。 
父親は野良のようだ。 
ある日、父猫(野良)は、一匹だけ仔猫をくわえて家を出て行き、それ以来姿を消してしまったそうだ。 
残った仔猫達は、皆それぞれ知り合いの家に貰われていったが、手紙の主はやっぱりその仔猫の事が気になっていたらしい。 
そして、約1年ほど前から空子(♂・3才)はこの家にちょくちょく遊びに行っていたらしい。 
空子(♂・3才)を初めて見た手紙の主は、 
チャチャと同じ鮮やかな青色の目、 
チャチャと同じ茶と白の模様、 
一目で空子がチャチャの子供であると、確信したらしい。 
あの時、父猫が連れて行ってしまった子だと。 
また、空子の赤い首輪を見て、空子もまたどこかで幸せな家族と一緒に生活しているのだと知って、大変安心したと書かれていた。 
チャチャは半年程前からだんだん体が弱り、今年の3月頃からは寝たきりになってしまったらしい。 
あれ?ちょうど、空子(♂・3才)がいなくなった時期だな、と考える。 
ドアを開けていても、窓を開けてやっても、空子は帰らなくなったらしい。 
空子は、寝たきりとなった母親にずっと寄り添って、 
一時も母猫の側から離れなくなったらしい。 
それは甘えているようで、そして必死で守っているようで、母親への空子の愛情が、見ていて辛かった。と書かれていた。 
最後の瞬間まで、空子は小さな体で精一杯、衰弱していく母親を温かく包み込んでいたという。 
チャチャは、ちょうど一ヶ月前に天国に旅立ってしまったらしい。 
最後の日、空子は別れを言うように、母猫の顔を毛繕いすると、静かに窓から出ていったそうだ。 
空子は精一杯の親孝行をしていたんだと分かった。 
また、手紙には、長い間空子くんを家に返さないで、心配かけてごめんなさい。と書かれていた。 
空子くんを、こんなに優しく育ててくれて、ありがとう。と書かれていた。 
空子が帰ってこなかった2ヶ月の間、俺は本当は心配だったのだが、何故か不安という気持ちは一切無かった。 
その矛盾した気持ちの訳が今日初めて分かった。 

今、俺の目の前には空子(♂・3才)がいる。 
俺は、こいつを世界一ばかで、世界一優しい猫だと思った。 
「そら子!」と呼ぶと、俺の顔を見て「にゃーん」と鳴く。 
お前がいて、当たり前だと思ってたけど、俺はお前がいなくなって、初めて気付いたことが沢山あったよ。 
「ありがとな!空子!」 
と言うと、空子はまた俺の顔を見て「にゃーん」と鳴いた。 
俺の目の前で、俺の大事な鞄で爪をバリバリ研ぐ猫(♂・3才) 
今日だけは許してやろう。 
もう柱だって鞄だって、どうでもいいよ。お前がいてくれたらそれだけでいい。 
気が済むまで、いくらでも研げよ! 
と思ったりしてみる。 
やっぱり俺は、空子(♂・3才)が一番好きなのかもしれない。 
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